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関東地方特定郵便局長会
(千葉:豊海郵便局長)
行川 芳司
「会社の品格」
一昨年以来、「品格」という言葉が強く意識されている。ベストセラーとして「国家の品格」藤原正彦著や「女性の品格」「親の品格」板東眞理子著がある。更に最近では「会社の品格」なる本も幻冬舎新書として書店に置かれている。
何故これらの本が多くの日本人に読まれ、ベストセラーとなるのであろうか。おそらく今の日本が価値観の多様化、経済至上主義の風潮の中で、日本人固有の相手に対する思いやりや、労りの心が失われ、「勝ち組、負け組」として、強いものだけが生き残るという殺伐とした風潮や現象に、多くの人々は疑問を感じ、感受性の高い日本人は、この本に魂を揺さぶられ感動したからに他ならないと思うのである。政治も経済も社会も混沌として、目まぐるしいスピードで変化している。国民は現象面に目を奪われ、自分自身をも失いかけているのではないだろうか。
翻って、我が郵政事業が136年の長きにわたり歴史を刻むことが出来たのは、「公のために尽くす」という崇高な精神の基に、礼節や伝統文化を重んじ国民の幸せを願いつつ、ひたすらに地域と共に歩んで来たことに他ならない。
事業としての「品格」を国民の皆さんから認められた結果として、信頼・支持を受け利用され続けてきたのであって、今もその信頼は揺るぎないものと確信している。
四分社化された民営化後の姿では、営業面で郵便局会社と郵便事業会社の社員による確執が生じている。さらに、ゆうちょ銀行・かんぽ生命と郵便局会社の間にも同様の現象が生じつつある。一方、煩雑な手続きによる待ち時間の長さ、手数料のアップ、店外設置ATMの撤去等々のためにお客様の郵便局離れも生じていて、この先が誠に心配である。戸惑いを見せるお客様の姿は、まさに郵便局会社、事業会社としての「品格」に疑問を提しているのである。お客様からすれば、サービスダウンや、会社間の勝手な営業競争に巻き込まれるのは、迷惑千万な話であろう。誰もが今の会社の姿に疑問を感じ、法的に会社の枠組みを変える以外に解決の方法はないものと考えているに違いない。
また、次々と明るみに出る有名企業の偽装問題が社会を騒がし、新聞テレビを賑わせている。品格ある会社の条件としては、あってはならないことである。お客様を裏切らないために、会社ではルールを強化する。これがいわゆる内部統制やコンプライアンス・コーポレートガバナンスである。会社は、当然の事として取組まなければならない重要課題ではあるが、これは性悪説を前提としており、言い換えれば社員を常に疑い、信用していないことでもある。従って、会社がこればかりに力を入れて取組めば取組むほど、社員の仕事に対するモチベーションは下がるのである。現に我が社にはこの現象が蔓延している。
社員から見た会社の品格はどうであろうか。社員は自らの将来に夢と希望を持って入社し、仕事を通じ自己の欲求実現のために全身全霊を傾けている。会社の仕事に使命感や充実感、成長感を持つことが出来るのだろうか、現状には多くの疑問を感じるところである。今会社は強く損益管理と結果を求めている。民営企業とすれば当然ではあるが、現状を見る時、単なる総人件費の削減のみになりはしないか心配である。
民営企業になって半年、過渡期といえども何一つプラスとなったものが見つからないのは誠に残念である。
「会社の品格」の著者小笹芳央氏によれば品格のある会社というのは、社員の共感を募り、社員に“働く意味”をしっかり与えられる会社であるとしている。
大きな集団をうまく機能させるためには、組織が必要となる。組織は生き物といわれる。大企業になればなるほど、組織は細分化される。会社には必ず組織が存在するが、この組織が機能するために最も重要なものは血流(コミュニケーション)である。
組織が正常に機能し、「品格」を保てなくなる主たる阻害要因は、(1)上意下達で「何を言っても聞いてもらえない」というあきらめのムードの蔓延。(2)おかしいと思っても、正論を口に出来ない雰囲気。(3)縦割り組織の弊害でセクト主義。(4)連携不足によるお客様軽視の風潮。(5)管理者が忙しく、前線のプレーヤーでマネジメント不能。(6)長時間労働による心身の疲弊。(7)短期目標、目先のことしか見えない。等々である。
組織が人の組合せで成り立っている以上、組織に関る一人ひとりが、どの様な意識や価値観等を持って携わるのかが、活性化と組織の「品格」を保つ上の大きな鍵となる。
今、組織に携わる構成員一人ひとりが、自らの立場と組織のあるべき姿について、大いに議論を尽くし、変えるべきものは変え、問題意識を以って積極的にしかも大胆に行動していくことが求められるのである。
事業の現状を変えることの出来るのは、我々自身以外になく、過去を受け継いだ我々には、この先に繋いでいく責任があるのである。