全特理事
黒田 敏博
組織は今
郵政民営化から11ヶ月が経過しましたが、今の郵政グループの業務、営業の状況はスタート時に描いたビジョンに近いものでしょうか。
私は、事業に携わる管理者・社員、そして利用者である国民の皆さまが描いた郵便局の理想像にはまだまだほど遠い状態であると思っています。
営業環境における様々な制約、そして過度な検査監査によるフロントラインの疲弊、社員の営業意欲の低下、さらにお客さまへのサービスダウン等、民営分社化は、まさに負のベクトルへ向いているというのが現状だと思うのです。
郵便局長に対するアンケート結果やお客さまの声を見ても、郵便局の実情がお客さまが郵便局に期待している形と大きく乖離していることが明らかです。
また、我々郵便局長が属する郵便局株式会社の中間決算が物語っていますが、フロントライン社員の努力が結果に結びついていないのが誠に残念でなりません。
現状維持が何とかできているのは、長きにわたって築き上げてきた地域におけるお客さまの信頼と、必死に民営化を乗り切った現場力、応用力の賜物ではないでしょうか。
先人の方々が切り拓き守り抜いてきた数々の諸問題に対する政治的対策や方向性の決断は、常に国の将来性、国民益という視点に立った組織的戦略がありました。
まさに、『先見の明』をもって大道を貫いてきた努力が、今日まで郵政事業が地域から愛され発展してきた結果に繋がっているのではないでしょうか。
この大改革期に国の未来、地域の将来を考察するにあたり、組織をあげて大道に立った『先見性』を持ち続けることが大変重要な鍵となると言えます。
今に始まったことではありませんが、私たち郵便局を取り巻く状況は極めて厳しいものがあります。目の前の小事に振り回されることなく、先見性を研ぎ澄まし、ぶれない方向性を持ってお客さまのため、そして事業の発展のために取り組むことが大変重要だと考えています。
小泉改革以来、市場原理主義が先行した結果、目先の事象、個人的判断による満足感、個人主義が蔓延し、地域格差、地方の痛みを感じることができない社会になっています。
そのような状況の中において、私たち郵便局長は何を守り、何を改革し、どう行動していくかという視点で、組織の先見性、方向性を明確に示し、局長会会員全てが同方向のベクトルに向けて『共感性』を持ち、一体となった団結力という大きな力で活動を展開していくことが大切だと考えています。
また、「指示待ち症候群」では組織は活性化しません。組織に対して一人ひとりの局長が「何ができるか、今何をすべきか」という課題を真剣に考え行動するべきであります。
自ら志願して選んだ郵便局長です。局長会組織に対して責任をもつのは当然の責務です。
激変し続けている事業を取り巻く状況の中で、我々がこれまでと同じように地域の中で認められるためには、我々自身が変わらなければならないのは当然です。
地域のお客さまは、郵便局という組織を守るために、郵便局を利用されるのではありません。
世の中に必要のないものは消滅していく。お客さまが利用されないところに郵便局の存在意義はない。当然ながら、お客さまの信頼がない郵便局には人はいりません。お客さまからの期待があるから郵便局は存在し続けるのです。
激変の中、今の現状をしっかりと受け止めて考え、実践することが必要です。この郵政事業に携わる誇りと全特組織に対する情熱を共有することが我々郵便局長の活性の源なのです。
多くの企業は、その存在意義を「儲けることでなく、社会貢献である」と位置づけています。そして、各企業発展の源は優れた人材育成にあるとしています。
良い人材を育て、事業を通じて社会、地域に様々な場面で貢献することが最も重要なことであります。そのことが事業を活性化させるとともに将来性豊かな会社を築くことになります。組織が人を動かす企業は徐々に活力を失い衰退し、人が組織を動かす企業は発展すると言われています。
会社が募集した郵便局会社の持株制度への加入率が大変低調でありました。裏を返せば、社員が会社に対しての将来的な魅力を感じず、逆に不安を持っている背景があるということではないでしょうか。
地域のお客さまや、社員に期待されない会社の将来性は低い。会社は将来に向けての正しいビジョンや経営理念を明確に示し、社員はその目的に向かって考え行動し、達成感を共有することが大切です。
今、まさに事業の将来に対する存亡を賭けて、組織を挙げてエネルギーを結集する時です。事業の将来を拓くため、『先見性』を持って共感し、変革に向け行動することが求められています。
厳しい環境下でありますが、今こそ郵便局長魂を示す最大のチャンスであります。共に汗をかき今の時代に生きた足跡を残そうと考えています。
郵便局長会会員は、全員で地域のお客さまのために力を合わせて、全力で困難な時代を乗りきろうと決意しております。
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